ティツィアーノとヴェネツィア派展【2017/4/2迄】
去る3月11日、ティツィアーノとヴェネツィア派展に行ってきました。
とても穏やかに晴れて暖かかくて、風が強くて…
私は花粉症ではないのですが、それでも上野公園では口の中がじゃりじゃりするなぁと思いました。
まず入ると≪統領フランチェスコ・フォスカリの肖像≫が出迎えてくれます。
照明が、スポットライトみたいに説明と絵に当たっていて、いきなりぐっと展示に引き込まれます。
当時のヴェネツィアの鳥瞰図の海に、怪物や神がいるの好きなんですよね。というか、世界地図の絵に○○大陸の擬人像とか、怪物なんかが描かれてるの好きです。ああいうの研究してたら楽しいんだろうなぁ。
第1章は聖母子と聖母子と聖母子で、いろんな顔のマリアと幼子イエスが見られました。こんなに聖母子並んでることなかなかないので、逆に一覧で見られて楽しいです。幼子イエスは、聖母子像のときって、基本的に裸か、薄布にくるまれてると思うのですが、
バルトロメオ・ヴィヴァリーニの≪聖母子≫の幼子イエスはきっちり着飾って、マリアに支えられてるとはいえ、ちゃんと二本脚で立ってるのが気になりました。なかなか服着た幼子イエスってみないし…でも、世界の救世主ならこうやって立っててくれたほうが頼もしいような…?
バルトロメオ・ヴィヴァリーニの≪聖母子≫1465頃 コッレール美術館、ヴェネツィア
それにしても顔色が悪いな
ティツィアーノは、やはり同時代の画家にくらべると、とびぬけて、抜群に上手いです。
≪復活のキリスト≫の背景の空が本当に好きで。湿っぽくて暖かい風が吹き抜ける海街の荒れた天候がちぎれた雲と青空で表されているのですが、雲にピンクを使って影を付けるのがうまいなーと。
≪フローラ≫は、つついたら柔らかく弾力のありそうな肌に、いい匂いのしそうな服と髪で、女神とはいえど、この絵に邪な気持ちを抱いた殿方は数多くいたんだろうなーと容易に予想がつきました。左胸元、髪の毛先の下あたりに、何度見ても青い血管が見えるような気がする。これは血管が描かれているのか、毛先がそう見えるのか、ティツィアーノがうますぎて血管を錯覚してるのかわかんなかったです。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ ≪フローラ≫ 1515頃 ウフィツィ美術館、フィレンツェ
フローラ含め、第2章は人物画、とくに肖像画ばかりですが、セバスティアーノ・フロジェリオ(帰属)の≪蒐集家の肖像≫は曲がった灰色の単調な壁(?)から青空がちらりと見えるのが、なんというか、マグリットとかを想起させます。
第三章の「ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼー巨匠たちの競合」ってタイトル、バトル漫画で四天王揃うみたいな感じでめっちゃアツいです。この章でのティツィアーノの作品は≪マグダラのマリア≫。うるうるな目のハイライトが大きめで、なんというか萌え絵の波動を感じます。きらきらうるうるな目が男性の好みというのは、古今東西変わらないことなのでしょうか?乱れた衣服もなんとも言えない妖艶さがあり、さっきのフローラは自分の美しさに自覚的な感じなのに対し、マグダラのマリアのグラビア写真感…。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ≪マグダラのマリア≫ 1547頃 カポディモンテ美術館、ナポリ
ティツィアーノとタイトルのついてる展覧会で申し訳ないのですが、今回の展示で一番好きだったのはヤコポ・ティントレットの≪ディアナとエンディミオン(もしくはウェヌスとアドニス)≫です。
繊細な刺繍のほどこされた大きなクッションに横たわる女神の豊かな身体、綺麗に結い上げられた髪、柔らかそうな布、楽しげなクピド、花咲いた枝、優しげな男性の伏した目
多幸感にあふれていて、とても好きです。ティントレットは≪スザンナの水浴≫がいっとう好きなのですが、あのスザンナも綺麗に結い上げられた髪してました。私が生まれつきのブロンドだったら、ルネサンスなヘアアレンジ沢山するのにな…。
今回の展覧会で嬉しかったのはこれ!
これうれしい……毎展覧会でやってほしい…… pic.twitter.com/wsAYqGKKSb
— ikumi (@thethreegraces1) 2017年3月11日
こういうの作ってくれると、どの本読めばもっと深く知れるのかわかってありがたいですね。
学芸員さんには負担だろうけど、頑張ってくれるととてもうれしい…
フィレンツェルネサンス好きの私ですが、ヴェネツィア派も俄然気になってきました。
※画像すべてWeb Gallery of Artより