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クラーナハ展【2017/1/15迄】

あけましておめでとうございます。

新年は3日に西美のクラーナハ展へ行きました。それにしてもせっかく建物が世界遺産になるのに、ドイツ版画にクラーナハと、あんまり華美じゃない展覧会が続きますね。クラーナハは好きなので、初の回顧展嬉しいのですが、美術館の経営がちょっと不安……

クラーナハ展@国立西洋美術館 ~1/15迄

三賀日だったので混んでるかなーと思って朝イチで行きました。なのでとってもすいていて、あっちこっち見ても大丈夫でした。

チケットもぎってもらって、ロビーのところに≪ユディト≫の顔はめパネルがあってですね…ユディトの顔とホロフェルネスの生首のところに顔がはめられるようになってて笑っちゃいました。

 

今回のクラーナハ展は、英題がLucas Cranach The Elderとなってます。日本語のキャプションだと「ルーカス・クラーナハ(父)」となってるやつです。クラーナハの同姓同名の息子も画家だったのですが、今回は題の通り、父クラーナハの展覧会です。

今回の展覧会でクラーナハは妖艶な美女を描いた画家、というより優秀な経営者としての側面が強く出ていたと思います。宮廷画家になり、工房を持ち…。時代も、宗教改革の真っただ中でカトリック側からもプロテスタント側からも仕事を受けてるあたり、すごく世渡りの上手な人だったんだろうなと。普通、競合他社の依頼は受けませんよねぇ。受けてもバッシングとかにあいますし。

クラーナハは1504年にザクセンの宮廷画家となります。クラーナハ30歳前半のことです。めっちゃ早咲きですよね…30そこそこで宮廷画家。宮廷画家となり、成功を着実に収めていくクラーナハは、肖像画家として多くの当時の著名人を描いています。第2章のゾーンはクラーナハ肖像画が多数展示してあります。

私のクラーナハの一番好きなところは、衣装装飾なのですが、もうこの頃から細密に書き込まれていて、ドレスやジュエリーが遠目から見ると本物っぽい。後期の美女画にはその技術が凝縮していて素晴らしいです。この肖像画のゾーンでひときわ目を引く≪ザクセン選帝侯アウグスト≫と≪アンナ・フォン・デーネマルク≫は対になった肖像画ですが、これはクラーナハ(子)の作品です。息子の作品もすごい細密描写で、ドレスの裾の金糸の刺繍とか、近づいてじっくり見ないと絵の具だとは思えないです。

(子)の絵と(父)の絵、ほんと見分けつかないです。(父)の立ち上げた工房でその後継者としてそのスタイルを引き継ぐのですから当然ですが。クラーナハ(父)はヴィッテンベルクに工房を立ち上げ、そこで一つのチームとして作品を生み出していきます。工房体制はルネサンス期からありましたし、日本でも親方について名前を継ぐ系だと思うと、別段珍しいことではないのですが、クラーナハ工房の最大の利点は「すばやい」だったそうです。クラーナハは三代の選帝侯に仕えており、実績もあってめっちゃ仕事が速いとなれば、そりゃ人気も出ますよね。

 

ここまではクラーナハの経歴が重視だったのですが、第4章からお待ちかねの裸体が始まります。私、ずっとクラーナハの裸体で気になっていることがあるのですが、クラーナハの裸体って、お腹がぽっこりしてる気がするんです。

f:id:thethreegraces25:20170106185901j:plainなんというか、骨は意図的に歪ませているとはいえ、この下腹部気になりません?私の推論としては、栄養失調っていうのが思いつくんですけど、宗教改革当時のドイツの栄養状態とか、あと人体とか医学に詳しい人いたらご教授ください。

 

クラーナハの裸体図のアンバランスさって、上記したように骨格が歪んでるのもそうなんですけど、対比が明確すぎるっていうのもあると思います。裸体なのにアクセサリーやヘアはじゃらじゃらっていう対比と、肌の白と背景の黒の対比。動きのある身体と無表情気味な顔。対比があんまりにも明確なので、両極端が気になっちゃうんだと思います。

私はクラーナハの表情が凄く好きです。口元笑ってるのに目が笑ってない。ユディトとか実物みるとドキドキしますね。殺人をしたにもかかわらず(いくら戦争という後ろ盾があるとはいえ)それを悪びれないどころか、満足した顔。ちょっとでもこちらが文句でも言おうものなら、あんたもこの首みたいになるけど?っていう顔。ああいう表情で相手を黙らせられる女性は強いと思います。目力ってやつですね。

それにしても、クラーナハの描く衣装装飾は本当に好きです。ビロードの手触りや光の反射がこちらまで伝わってきそう。それにあのワインレッドといいモスグリーンといい、絶妙な色合い。重たい素材のドレスに呼応するような、大振りのネックレス。最高ですね。そしてさらにびっしりと施された刺繍の数々…。でも全体的に思いファッションでもバランスがとれてるのは、真っ白な肌のおかげだと思います。

そんなクラーナハなので模写するのは大変です。クラーナハをトリビュートする作品も多く出ていた。現代アートからピカソまで。クラーナハの絵は一度見たら忘れられない。ザクセン選帝侯にはじまり、クラーナハの作品は人の心をがっちりつかむ視線を持っている。

 

ミュージアムショップでは、図録買いました。クラーナハの参考資料ってめっちゃ少なくてな……wikipediaですらあんな感じだし…Amazonで検索かけても複製画ばっかり出てきて…。その点この図録は最高です。お正月に行ったのでB3ポスターつけてもらっちゃった!シュタイフのユディトベアはかわいかったけど三万するので見るだけでした。